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VOCA展 2023

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VOCA展好きで、30年ぐらい前から開催に気がつけば行っているのですが、
なんせ開催期間が2週間しかないので、ついつい忘れがち。
今年は開催前から気がついてGoogleカレンダーに入れておきました。

なぜ好きかというと
40歳以下の若手の作家さんということもあり、斬新でユニークな作品が多く、面白いから。
N展みたいにモチーフや構成がパターン化されてないから。
作家の独自性が強いから。
ポスターのグラフィックのヴィジュアルも毎年かっこいいです。

VOCA展は、全国の学芸員、研究者などに若手作家の推薦を依頼、新作を出品、審査、という方法を取っているのだそう。
それが公平なのか不公平なのか、素人には知る由もないのですが。それはさておき。

何年ぶりかで行きました。
今年も、面白かった!

印象に残ったのは、
写真家の北上奈生子さん、アクリル画 七からげ綾乃さん

北上さんの写真は、カメラはフィルムかデジタルか?デジタルのような気がするけど(レンズは何を使用されているのだろう)で撮り、デジタルに落とし、インクジェットプリンターでマット紙で出力した作品。
普通の紙焼きにはない、マット紙+顔料インクのしっとりとした質感が美しくて、なんともいえない深い味わいがありました。
プリンタはおそらく写真用の中間色も出せる最上級機を使用しているだろうし、紙は普通のプリンタ用の紙ではない気がする。
インクジェットの精度にも驚いたけど、あえてインクジェットを選択した、というところも、若手の作家さんらしさを感じます。
ほとんど黒の部分も、案外ツブレてなくて、わずかにディティールが残ってました。
もちろん写真自体も、構図、色合い、影と光の表現、空気感などが、私はとても好きでした。
これを写真集にしてしまうと、この不思議な質感が死んでしまうんだろうなあ。

作品にインクジェットプリンタを使うというのは、小さなギャラリーの絵画作品で以前観たことがあります。
VOCA展で他一名、絵画作品でインクジェットプリンタ使用の方いました。
流行っていたりするのでしょうか。

会場に入って最初に展示されていた、七からげ綾乃さんの、波打ち際を真上からとらえた作品にも、いきなり惹きつけられてしまいました。
孤独感、哀しみ、女性ならではの強さ、母性、などを感じます。
1点だけじゃなくて連作で観てみたいです。
検索してみたら、この方実は木彫りの彫刻の方でした。
彫刻も不思議な魅力があります。
彫刻の方が作者の内面がより表現されているように思いました。

VOCA展、立体もやればいいのに。

全体的に、世情の反映なのか、「孤独」や「深い内観、内省」を感じさせる作品が多かった気がします。


そして、集客だとか売り上げだとかマーケティングだとか、損とか得とか、コスパとか、勝ったの負けたの
なんかそういうのがまったく無い世界で生きている作家さん達の作品にふれて、汚れた心がほんの少し浄化された気がする。



by enkao72 | 2023-03-16 18:44 | アート